Linuxについて 伊藤敏  32bitのオペレーティングシステム(OS)の時代といわれ,多くのOSが出てきております.その中で,PC-Unixの一つであるLinuxを取り上げます.LinuxはJFというグループの大変な努力により英語環境(通常の環境)をインストールしたら,それに上書きをする形で日本語環境をいれると,すぐに日本語が使えるように整備されております. はじめに,筆者の立場を紹介しましょう.インターネットにアクセスできません.Linux(PC-Unix)を使い出してからあまり経ってません.しかし,DOS,MS-Windowsをアプリケーションユーザとして使い,仕事をしてきた人間が,Unixの豊富なアプリケーションを使うためにLinuxを導入し,悪戦苦闘をした経験を持ってます.この経験をもとにできるだけ失敗を少なく導入する方法を書くことはできます.これからLinuxをやってみようと考えている方には,これを機会に,ぜひトライして下さい. 本稿では理工系技術者が解決しなければならない問題を考え,計算し,その結果を検討して,プレゼンテーションしていく為の道具としてLinuxが使えるような事をめざし,導入方法を紹介して行きます.そして,「考え,その考えを検討する」過程で道具としてコンピュータを用いる場合,マルチタスクで使える事が重要であると考えます.そこでマルチタスクを快適に使うためにX windowの導入を前提に話を進めます. 1.Linux導入にあたり 1-1. Linuxとは,そして入手方法 LinuxはLinus B. Torvales氏が開発したPC/AT互換機で動作するunixライクなオペレーティングシステムです.ソースとバイナリを自由に再配布できます.基本的なコマンドやツールのバイナリを合わせ,インストーラを付けたパッケージが用意されています.  ネットワークを通じていろいろなパッケージが配布されております.しかし,はじめに述べたように筆者はインターネットにアクセスできません.従って,CD-ROMを入手して利用することになります.アクセスできない人が利用しやすいパッケージとして,slackwareとSLS(Softlanding Linux System)があります.いずれもディレクトリが1枚のフロッピィディスクに納まるようになっています.最近は雑誌の付録CD-ROMとして配布されたり,Linux上で日本語が使えるようにパッケージ(JE)を用意するなど活躍しているグループの監修によるCR-ROMがでております.一番のお薦めはJEによるLinux+JEです.Laser 5(東京都千代田区外神田2-1-13 細野ビル Tel 03-5296-0670 通信販売可)という店がCD-ROMにして販売しております.その他にInfoMagic Linux(写真)というCD-ROMが販売されています.おなじ店で入手できます. *** photo InforMagic Linux CD-ROM *** 1-2.必要なハードウェア  Linuxは2Mのメモリ,フロッピは1枚で作動します.しかし,はじめに述べたように「思考」を助ける道具として使う事を考えるとX windowが作動する環境が必要と考え,その環境を作る事を前提にします.ただ,ノート型パソコンなどのように制限の多い機種に導入する場合はコンソール(DOSと同じ様な画面)で作動させ,仮想コンソールを使ってマルチタスクが実現できます. cupは386以上が必要です.しかし,現状では486以上のcpuを登載した機種が安く多く出回っており,ほとんど問題はないでしょう.メモリは8M以上,できれば16M,ハードディスクは160M以上の空きが必要です.ビデオカードは640x480の白黒ならどのカードでも表示できます.チップとしてs3やet4000を用いたものなら大抵256色1024x768で使用可能です.PCIバスのカードにも対応しております.最新のビデオカードは避けて一世代前のカードを選べば良いでしょう.XFree863.1.1で対応しているビデオカードは大幅に増えました.Mach64にも対応しました.SCSIカードはアダプッテクの1542や1522が無難でしょう.CD-ROMはSCSIはもちろん,ミツミやサウンドブラスタに付属のものSony等に対応しております.必需品と言ってよいでしょう.  コンピュータを新たに購入するなら,各部品は最新の物ではなくすこし前の物がコスト的にも良いでしょう.たとえば,ビデオカードは少し前のカードにし,その分メモリとハードディスクへ投資した方が快適な環境が作れます.とくにメモリは16Mにすることをお薦めします.8Mのメモリですと,ときどきスワップをし,その分動作が遅くなります.16Mにするとスワップがたいへん少なくなります. 2.インストール 2-1.はじめに はじめに,これから行なうインストール手順をまとめます. (1)Linuxをインストールするハードディスクの設計 (2)Linux立ち上げ用その他のフロッピー3(または5)枚用意 (3)DOS上でCD-ROMからインストール用ディスクの作成 (4)インストーラを立ち上げてfdiskによるパーティション区切り(一番注意が必要) (5)再立ち上げの後,setupによるインストール(ハードディスクのフォーマットその他の操作を含む) これらが済んだら (6)X Windowの設定 (7)日本語環境インストール 2-2. ハードディスクの設計 (1) Linuxをインストールする前にハードディスクのパーティション(区画)をどう区切るかを決めなければなりません.Linuxの場合他のOSと同様に,最低1つのパーティションが必要です.ルート(/),バー(/var),ユーザ(/usr),ホーム(/home)(自分の作業領域),スワップすべてを置くことになります.しかし,スワップは速度などの点から別のパーティションに分けた方がいいでしょう.それで,ここではLinuxに最低2つのパーティションを割り当てます.以下の区切り方はハードディスクの容量やPCの使用形態,さらには個人の考え方によりいろいろな場合があり得ます.ここでは,表1のように区切りました.Dos,MS-Windowsとの共存し,両方使えるようにします.分かりにくいのですが,ここでは2つのLinuxを入れてます.普段の仕事用と,今回の連載用です.今回紹介するのは /dev/hda4 をルート+ユーザに /dev/hda3 をスワップ用に /dev/sda3 をホームにしました. 表1 IDE 500M+SCSI 1000Mのハードディスク IDE 500M /dev/hda1 * 1 1 508 256000+ 6 DOS 16-bit >=32M /dev/hda2 509 509 559 25704 83 Linux native /dev/hda3 560 560 625 33264 82 Linux swap <-スワップ /dev/hda4 626 626 1017 197568 83 Linux native <-ルート+ユーザ SCSI 1000M /dev/sda1 * 1 1 101 103408 6 DOS 16-bit >=32M /dev/sda2 102 102 352 257024 83 Linux native /dev/sda3 353 353 453 103424 83 Linux native <-ホーム 以下略 みなさんのハードディスクの容量によりますが,ホームは,はじめから別のパーティションに分けておいた方が良いと考えます.システム関係はCD-ROMからインストールをし直せば良いのですが,自分の作った文章などはバックアップをとっておかないと絶対復元できません. ルート・その他を1つのパーティションにとる事にはLinuxの事をよく知っておられる方には「安全性」の立場で異議があるかも知れません.しかし,はじめてLinuxを導入する場合,ほんとに使えるかという気持ちがありハードディスクの大きな容量を割けないでしょう.従ってはじめはとにかく使えるようになって頂く事を優先します.使えるという自信が出てきたら,ハードディスクを増設し/,/var/,/usr,/homeを別のパーティションに分けましょう. ***コメント なぜ,こんな事を言うかと言うと,筆者がはじめてLinuxを導入したとき(SLS),ルートに10Mとりました.インストールの途中でエラーがでて,どうしてもインストールが先に進みません.かなり後でルートの容量が2Mほど足りないためと分かりましたが,そのために,2週間程無駄にしました.それよりも,悩んで悩んでLinuxの導入はあきらめるところでした.ハードディスクの容量が十分になく,ルートに多少の余裕を持たせるのをけちったためですが. **********コメント終わり パーティションの設計ではありませんが,忘れないうちに,DOSの領域をDOSのFDISKで確保します. 2-3. Linux立ち上げ用その他のフロッピー用意  フォーマットずみのフロッピィディスクを3枚用意して下さい.使用するCR-ROMドライブがMITSUMI,NEC-260,Sonyの CDU535/351,CDU31Aやサウンドブラストに付属しているもの場合は5枚必要です. 2-4. インストール用ディスクの作成 CD-ROMから最低限必要なインストール用プログラムをコピーします.ここではInforMagicのCR-ROMを例に取って説明します.CD-ROMの DOS_UTIL から RAWRITE.EXE と GZIP.EXE をDOSの,たとえばC:\LINUXにコピーします.さらにブートディスクをディレクトリ(DOSではDISTRIBU\SLAKINST\BOOT144, unixではdistribution\slakinst\boot144)から選択してコピーします.ブートディスクはLinuxをインストールするハードにより適切なのを選びます.筆者のCR-ROMはSCSIでネットワークカードがさしてあるので SCSINET を選びました.ミツミのCR-ROMなら MITSUMI サウンドブラスト用のCD-ROMなら SBPCD を選びます.もし分からなければ同じディレクトリにあるWHICH.ONEを読んで下さい. ルートディスクはほとんどの場合,ディレクトリ(DOSではDISTRIBU\SLAKINST\ROOT144,unixではdistribution\slakinst\root144)の COLOR144 を選べ良いと思います.もしインストールがうまく行かないようならば他のファイルを選択します. ここで,Linuxのslackwareというディレクトリがどこにあるか確認をしてメモしておきましょう.InforMagic Linuxの場合は distributions\slackware でした.この場合,unixで用いる名前である必要があります. 用意したインストール用ディスク,それぞれに 1:INSTALL BOOT DISK 2:ROOT DISK 3:LINUX BOOT DISK とラベルを貼っておきましょう.4,5枚目が必要な構成なら 4:MITSUMI または SB または NEC260など 5:boot kernel とします.この場合はMITSUMI用またはサウンドブラスタ用CDROMをアクセスできるカーネルを MITSUMIは DISTRIBU\SLAKINST\KERNELS\S_MITSUM\ZIMAGE,distributions/slakinst/kernels/s-mitsumi/zImage サウンドブラスタのは DISTRIBU\SLAKINST\KERNELS\S_SBPCD\ZIMAGE,distributions/slakinst/kernels/s-sbpcd/zImage の zImageがカーネルになりますが,用意したフロッピィにコピーしておきます. もし,ファイルが圧縮されているなら,解凍しておきます(InforMagic Linuxの場合は圧縮されていない). ・コピーしたファイルの解凍: C:\LINUX> GZIP -d SCSINET.GZ <-- 選択したブートディスクファイル名 C:\LINUX> GZIP -d COLOR144.GZ <-- 選択したルートディスクファイル名 ・インストール用ブートディスクの作成 フォーマットずみのディスクを Aドライブにいれて C:\LINUX> RAWRITE Enter source file name: SCSINET <- SCSINETを入力 Enter destination drive: A <- Aを入力 しばらく待つとインストール用ディスク1ができます. ・ルートディスクの作成  前と同様にフォーマットずみのディスクを Aドライブにいれて,同じ操作をします. C:\LINUX> RAWRITE COLOR144 A を入力します.これで,インストール用のディスク2が出来ます. 2-5. インストーラを立ち上げてfdiskによるパーティション区切り インストール用ブートディスク1をAドライブにいれ,マシンをリセットして下さい. boot: というメッセージがでます.ここではリターンキーを押しましょう.画面に目を凝らしてみていると,CD-ROMやハードディスク(IDEはhda,hdb,SCSIはsda,sdbと表示される)その他の周辺機器が認識されたというメッセージがでます.メッセージが画面の上に消えてしまったら,Shift+PageUpとShift+PageDownで画面を上下にスクロールすることができます.もし,ここで,自分の使っているCD-ROMが認識されていなければ,2-4 に戻ってブートディスクの選定をやり直して下さい. しばらくすると, Please remove the boot kernel disk rom your floppy drive, insert a root/install disk(... ramdisk and boot, and then press ENTER to continue. というメッセージがでます.これはroot diskに入れ換えろと言う事ですから,ルートディスク2に入れ換えてリターンキーを押しましょう. いろいろなメッセージがでて slackware login: がでます.ここで root と入力します.これはrootという名前でloginする操作です.いよいよPC-Unixの世界です. DOSやMS-Windowsの世界からPC-Unixの世界に入る時,気をつけることは入力する文字の大文字と小文字が区別されることです.unixでは通常小文字を用います.それから,いきなり電源を切ることはできません. 先ほど「設計」をしたパーティションを実際に切ります.この操作は間違えますとDOSの領域を壊す可能性もあります.慎重に行って下さい. パーティションを切るために,fdiskを起動します. # fdisk /dev/hda なお,/dev/hdaはIDEの1台目のハードディスクを示します.もし,LinuxをインストールするハードディスクがIDEの2台目ならば fdisk /dev/hdb として下さい.fdiskやその他で使う Linuxにおけるハードディスクのデバイス名を表2に示しました.fdiskの使い方は簡単に表3に示します. *** 表 2 ***** 表2 ハードディスクのデバイス名 IDE 1台目のハードディスク /dev/hda IDE 2台目のハードディスク /dev/hdb SCSI1台目のハードディスク /dev/sda SCSI2台目のハードディスク /dev/sdb ************** **** 表 3 ***** 表3 fdiskの使い方 m:ヘルプ表示 p:パーティション情報の表示 n:パーティション作成(追加) t:パーティションのID変更 Linuxを入れるところのIDは83,スワップは82にする d:パーティションの削除 w:パーティション情報を書き込み,終了 q:パーティション情報を書き込まずに終了 *************** さきほど操作は慎重にと言ったのは fdiskの起動の時に1台目のIDEハードディスク以外にLinuxをインストールするときです.うっかりfdiskとだけ入力すると起動したfdiskは1台目のIDEのハードディスクを区切ってしまいします.fdiskを起動するときは必ず,ハードディスク名を付けて下さい. fdiskが立ち上がったらpを押すと現在のパーティション情報が表示されます.今はDOSや仕事用のLinuxのパーティションで275M確保してあるので,/dev/hda1が250MでDOS領域,/dev/hda2がLinux用であることが表示されています. # fdisk /dev/hda Command (m for help): p Disk /dev/hda: 16 heads, 63 sectors, 1017 cylinders Units = cylinders of 1008 * 512 bytes Device boot Begin Start End Blocks Id System /dev/hda1 * 1 1 508 256000+ 6 DOS 16-bit >=32M /dev/hda2 509 509 559 25704 83 Linux native nを入れてパーティションを作ります. Command (m for help): n Command action e extended p primary partion (1-4) p Partion number (1-4): 3 First cylinder (560-1017):560 <-- はじめの数値を入れる Last cylinder or +sizeM or +sizeK (560-1017): +32M これで,スワップ用のパーティション32Mを確保しました.nを押すとパーティションがextendedかprimaryか聞いてきます.パーティション(区画)は1台のハードディスクに4つまでしか作れません.それ以上の区画を作りたいときはextendedを選んで,extended区画を作ってからその中で論理区画を作ります.ここでは4つパーティションを作る計画ですからextended区画は必要ありません. 続いて,ルートその他を入れる区画を作ります.キーボードから入れる記号だけを書きます. n(区画を作る) p(primary 区画) 3(区画ナンバー) 626(First cylinder) 1017(endの値) パーティションを切り終わったら,一度 pで状態を表示して下さい.表1の前半のようになったはずです. もし,決めたとおりにパーティションが切れなかったならば,修正するパーティション以降を削除して,作り直す必要があります.dを押して,削除するパーティションナンバーを指定します. ほば予定どおりであればパーティションのIdを変更します.今の場合は3番目のパーティション/dev/hda3のIdをスワップ用の82に変えます.Idの詳しい事は,Lを押すと一覧表が表示されます.Idの変更は,tを用います. Command (m for help): t Partion number (1-4): 3 Hex code (type L to list codes) : 82 Changed system type of partition 3 to 82 (Linux swap) /dev/hda3 560 560 625 33264 82 Linux swap /dev/hda4 626 626 1017 197568 83 Linux native よけれは, wと押して保存します.fdiskはwを押すと記録して終了します. つぎに,ホーム領域用の区画を作ります.同じ方法で作りますが, fdisk /dev/sda と入力します.デバイス名に気をつけて下さい.後は /dev/hdaを区切った時と同じ手順です. ここで区切ったパーティション情報を有効にするために一旦Linuxを終了し,立ちあげ直しをします.Unixは一般的にいきなり電源offなりリセットをすることはできません(その必要もほとんどありませんが).さて,これで一番緊張する操作は終りました.つぎの操作に移る前にコーヒーでも入れて飲まれると良いでしょう.  では,boot用ディスクに入れ換えて,つぎの操作をします. # shutdown -r now <--- 今(now)終了操作(shutdown)をして,再立ち上げ(-r)をする しばらくすると,先ほどと同じ手順でLinuxが再起動します. 2-6. いよいよインストール 先程と同じ手順で再立ち上げをします.フォーマットしてあるフロッピディスク1枚の用意を確認して下さい.立ちあげにより画面には,先ほどと同じ slackware login: と表示されているはずです. rootでloginして # fdisk /dev/hda と # fdisk /dev/sda で先ほどのパーティションがきちんと区切られているか確認をして下さい.qでfdiskを終了して,つぎにsetupと入力して,インストーラを立ち上げます. # setup 図1のような画面が出ます.大変良くできたインストーラです.幾つかのポイントを見ていきましょう. *** 図1********** 図1 installerの画面 ---------------------------------------------- HELP Read the Slackware Setup HELP file KEYMAP Remap your keyboard QUICK Choose QUICK or VERBOSE install mode <- 1 [now: VERBOSE] MAKE TAGS Experts may customize tagfiles to preselect packages ADDSWAP Set up your swap partition(s) <- 2 TARGET Set up your target partition(s) <- 3 SOURCE Select source media <- 4 DISK SETS Decide which disk sets you wish to <- 5 install INSTALL Install selected disk sets <- 6 CONFIGURE Reconfigure your Linux system <- 7 EXIT Exit Slackware Linux Setup ---------------------------------------------- < OK > ---------------------------------------------- はじめにQを押してQuick modeにします.続いてAを押してスワップのパーティションをセットします.英語でいろいろでてくますがスワップ領域を取るパーティションの入力は/dev/hda3と入れて下さい.あとはYesを選択します. Continue?と聞いてくるので,yesを指定します.これでTargetに入りました.Linuxをインストールするrootパーティションを聞いてくますのでここでは先ほどの設計にしたがって/dev/hda4 と入力します.みなさん方の環境に合わせて/dev/hda4 の部分を変えて下さい.つぎに,ファイルのタイプを聞いてきます.標準のext2にします.フォーマットするかどうかと聞いてきます.Format,Check,Unformatの3つが選択できます.はじめはCheckを選択します.少し,時間がかかりますがハードディスクをチェックしながらフォーマットしてくれます. 同じようにContinue?と聞いてくるので,yesを指定します.これでSourceに入りました.Linuxが入っているメディアをセットします.ここでは5のCD-ROMを選択します.CR-ROMの種類を選択します.ここでは1 SCSIを選びます.各自の環境により選択をして下さい.用いるdeviceは/dev/scd0にします.つぎにLinuxが入っているディレクトリを選択します.ここではInfoMagic Linuxを使っていますから,それを選択します.それ以外の場合はCを選んでLinuxが入っているディレクトリを入力して下さい. つづいてContinue?と聞いてくるので,yesを指定します.これでDisk setsに入りました.インストールするシリーズを選択します.インストールしたい所に矢印で移動してスペースキーでXの印を付けます.ここでは表4のソフトパッケージ ******** 表 4 ****** 表 4 インストールするソフトパッケージ A Linuxの基本システム AP Xを必要としないアプリケーション D C,C++,Lisp,Perlなどやカーネルのソース(プログラミングに必要) N ネットワーク関係(TCP/IP,UUCP,Mail) X XFree86 3.1のX Windowsシステム XAP X Windowsのアプリケーション IV InterView関係 その他にここではインストールしませんが,つぎのソフトがあります. E GNU Emacs(日本語が通るemacsをJEから入れます) T TeX(日本語用のTeXをJEから入れます) *************************** を選択しました.本当はFの FAQ listsを入れる必要があります.しかし,これはあとで追加インストールの練習として使いますので,ここでは選びませんでした. 同じようにContinue?と聞いてくるので,yesを指定します.これでInstallに入りました.ここで問題になるのはどのソフトをインストールしたら良いか分からない事です.ディスク容量に余裕があれば全部を入れるという手もありますが,普通はなけなしのディスクを割いて,Linuxを入れられる方が多いでしょう.筆者もはっきりとした基準は分かりません.しかし,ここではとにかく筆者のいれたソフトを書いておきます(表5,6).これはインストーラがお薦めのソフト(Xの印が付いている)に幾つかを加えただけです.これがベストではありませんし,先に書いたように素人が故の無駄があるかも知れません.もし足らなければあとで追加インストールすれば良いと考えます. なお,Linuxがまだ対応していないCD-ROMを持っている方や,ブート用ディスクの選択を間違えた方はここでエラーが出て先に進めません.ブートディスクで立ち上げた時にCD-ROMが認識されていなかったのでしょう.2-4 に戻って持っているCD-ROMに合ったブートディスクを作り直して下さい.持っているCD-ROMにLinuxが対応していない場合はCD-ROMのslackwareのディレクトリにある各ディレクトリの内容をハードディスクにコピーして4番目のSourceの選択でハードディスクを選択します.表4であげたパッケージをインストールするために必要なDOS領域のハードディスクの容量は disk a: 3.8M; ap:6.0M; d: 8.8M; iv: 1.34M; n:4.8M; x:16.6M; xap:2.9M; xv:3.0M 合計で48Mぐらいです.x関係を除けば24M程度の容量でいけます. ********** 表 5 ************* 表5 インストーラお薦め(あらかじめX印がついている)以外に加えたソフト A: tcshを加える AP: ispell jpeg workbone gp9600 groff sc そのほかに好みによってはシェルとして ash zsh があります. D: tools byacc man2 man3 extralib f2c    fortranからcのコードを作る svgalib perl IV: そのまま N: ppp uucp smailcfg X: fvwmicns Xserver: x_8514,x_agx.x_mach32,x_mach8,x_mono,x_p9000,x_s3 x_svga,x_vga16 お薦め 自分のvideocard chip用+x_mono,x_vga16 XAP: gs_x11,ghstviewを削る(後で日本語対応版を入れる) gnuplot gchess xgames xpaint xspread XV: workman *********************** ******* 表6 ***************** 表6 筆者のインストールしたソフトのリスト disk a: base devs idekern scsikern sysvinit ldso getty gzip ps shlibs util less bash comms cpio e2fsbn find grep keytbls lpr gpm shellutl syslogd tar textutl zoneinfo etc hdsetup lilo tcsh loadlin umsprogs disk ap: man joe diff bc gp9600 groff sc manpgs shlbsvga ispell disk d: tools gcc gxx flex include man2 pmake bison man3 libgxx libc svgalib m4 lx1159_1 lx1159_2 lx1159_3 disk f1: manyfaqs disk iv1: iv_bin libiv_so disk n: netcfg tipip sendmail smailcfg uucp ppp disk x: x_s3 x_cfg fvwmicns xf_bin xinclude xlock xpm oldlibs xfnt xfnt75 config86 xf_lib xman disk xap: gnuplot libgr seyon vgaset xfileman xv gchess xgames xspread xpaint ********************** あとから,日本語環境JEを入れますので,ghostscript関係は「お薦め」であっても入れてません.また,emacs,texのパッケージも入れません. Continue?と聞いてくるので,yesを指定し,Configureに入ります.ここからはあとで幾らでも変更が出来ます.しかし,初めての人にとっては質問ばかりで戸惑うところです.一つ一つ例を書いて行きます. 最初の方にbootdiskを作るかどうか聞いてきます.ここでyをいれ,はじめに述べたフロッピディスク3を入れます.network関係はHostnameとdomain nameだけ設定します.ここで設定したHostnameは日本語を入力する設定で用います. CONFIGURE YOUR SYTEMS? Yes MAKE BOOT DISK? Yes ここで用意したフォーマットずみのフロッピィを入れます.もちろん,書き込み可能にして置いて下さい. BOOT DISK CREATION Yes フロッピィに書き込みをします. MODEM CONFIGURATION Yes SELECT CALLOUT DEVICE cua1 com2: under DOSを選ぶ.OK MOUSE CONFIGURATION Yes SELECT MOUSE TYPE Mouse System serial mouse(3ボタン式はほとんどがこのタイプ)なら 6 Microsoft serial mouseなら 1 PS/2マウスなら   2 を選び,OK SELECT SERIAL PORT ttyS0 com1: under DOS を選び,OK SCREEN FONT CONFIGURATION No もしコンソール画面のフォントが気に入らなければここでセットします. SET YOUR MODEM SPEED 38400 OK モデムの最高スピードを選ぶから38400にセット LILO INSTALLATION Skip を選ぶ. もし,ハードディスクからLinuxを起動をしたいなら,LILOの設定をします.設定の詳しいことは後で述べます. CONFIGURE NETWORK? Yes ネットワークにつなぐ予定がなくてもこの設定は必要. NETWORK CONFIGURATION OK ENTER HOSTNAME sato 自分のマシンに名前を付けてやって下さい.ここでは筆者の名前の一部を取り出し,付けました. ENTER DOMAINNAME ***.**.jp ドメイン名の指定です.ネットワークにつながっていない場合は何でもかまわないのですが,系統的に決める方法としては自分の住所から作ります.(詳しくはトラ技コンピュータ1994,12月号p90参照) 名古屋市中村区なら someone.nakamura.nagoya.jp 愛知県蒲郡市なら someone.gamakori.aichi.jp とします. LOOPBACK ONLY Yes ネットワークにつなぐ場合はここで,Noを選択し設定をします.しかし,これは必要になってから行ないます.つぎに進みましょう. GPM CONFIGURATION Yes コンソールでマウスが使えるようにセット SENDMAIL CONFIGURATION SMTP OK TIMEZONE CONFIGURATION Japan OK SETUP COMPLETE OK これで,はじめのSetup画面に戻りました.ここで EXIT OK DOSで見慣れたコンソールの画面に戻りました. # が表示されているはずです.これでインストールは終了です.SCSIのCD-ROMを使われている方はこのまま終了操作をして,再起動すればあなたはめでたくPC-Unixのオーナです. # sync;sync # shutdown -r now で再起動します.または電源を切る時は syncをした後 # shutdown -h now として,しばらくすると halt と表示されれば,電源を切ることができます. これで,とりあえずLinuxのインストールはできました.まだ,SCSI以外のCR-ROMが使えないとか等の不都合が残ってますが,コンソールでいろいろなコマンドを試すことはできるはずです.誌面が尽きました.unix関係の本を買い込んできて,あれこれとコマンドを実行させてみて下さい. 来月はCR-ROMの設定とunixの雰囲気を味わうことをした後,X Windowの設定をする予定です.